Chocolatier/My English Skills 英語のしごと
公開日:2024年9月6日コラム
英語で将来どんな仕事ができるのだろう? このシリーズでは、英語を使う仕事を紹介します。

中村 有希さん
Chocolatier(ショコラティエ)
中村 有希(Yuki Nakamura)さん
日本の高校を卒業後、カナダの大学に留学(社会学で学士取得)。オーストラリア・メルボルンの製菓学校で学び、西オーストラリア州パースのパティスリーで修業。2010年に現地で「ナカムラチョコレート(Nakamura Chocolate)」を立ち上げ、2017年に神戸市にショップをオープン。
「ショコラティエ」とは
パティシエと呼ばれる洋菓子職人の中でも、チョコレートからさまざまなデザートやお菓子を作る、チョコレートを専門に扱う職人のことです。
中村さんがショコラティエになるきっかけは、幼少時代の体験にあるそうです。父親がパリで買ってきてくれたショコラ(チョコレート)が放つ宝石のような輝きに感動し、大切に抱いていたその想い出が、やがて花の蕾のように開花します。
実は、子どものころは、ショコラティエという仕事があることを知らなかったそうです。ただ「チョコレートが好きで、どうやって作るのか、どんな材料を使うのか、掘り下げて考えるような子どもでした」と言うように、自分でいろいろな物事のしくみを考える習慣が、今の仕事につながったそうです。
親が国際交流に熱心だったということもあって、アメリカでサマースクールやホームステイを体験し、高校卒業後、カナダの大学に留学します。ショコラティエを目指ざすころには、すでに英語は身についていたとはいえ、海外で活躍するにはきちんとしたビジネス英語を学ぶことが大切と言います。
「マネージャー(経営者)になるとか、お店を開きたいというのならビジネス英語が求められます。私もいろいろな分野の本を読むなどして、きちんと丁寧な英語が使えるように意識的に学んできました」

シェフハットとエプロンを自宅で身につけてみた記念に。
カナダでオーストラリア人の現在のパートナーと出会った中村さんは、オーストラリアの多民族性や多様な食文化にも興味を持つようになり渡豪。メルボルンの製菓学校で学んだ後、西オーストラリア州パースのパティスリーで、フランス人シェフのもと、お菓子作りの技術を磨きます。
そして、2010年に起業。自分のブランドを設立します。とはいえ、初めからチョコレートを扱ってくれるお店はありませんでした。試食してもらい続けたことで、少しずつ認めてもらえるようになったそうです。
今ではパースでも人気ブランドとなった「ナカムラチョコレート」。日本では2017年、神戸にショップをオープンしました。
ショコラティエになるために必要なことは「パティシエの知識」「ホスピタリティ」「キッチンの経験」の3つだそうです。
「ショコラティエはチョコレート専門ですが、パティシエの中の仕事でもありますので、その知識はあったほうがいいと思います。それから接客マナーといったホスピタリティは大切です。作り手として買う側の気持ちもわかるようになるといいですね」
オーストラリアでは「日本のショコラティエ」、日本では「オーストラリアのショコラティエ」として知られる中村さん。国の違いも考えながら、それぞれのトレンドをつかんで商品に反映するのは難しいと本音をのぞかせますが、それが面白いのだとも言います。
「ショコラティエに限らず、なりたいものになるにはいろいろな方法があっていいと思います。"Itʼs never too late". 何歳になってもチャレンジできます。ショコラティエになろうと思うなら、いろいろなチョコレートを食べてみること。もちろん、歯みがきも大事ですね」
中村さんにとってチョコレートは自分を表現するためのツールだそうです。アーティストならキャンバス、ミュージシャンなら楽器というように。「チョコレートの魅力とは?」と尋ねると、「人が笑顔になれること」ときっぱり。宝石のようなボンボンショコラを口にしたときの幸福感......。中村さんの言葉もまた良質な感動を与えてくれました。
こだわりは、機械化せずに手作りを貫つらぬくこと
「(誰かに)チョコレートを食べてもらおうというとき、シンプルなものを丁寧に作ったらいいと思います」と言う中村さん。チョコレートには、作っているときの想いや、その人のことを想って作る時間が伝わるのだそうです。「手で作ることの大切さ、手で作ることから生まれる温かみは、機械化で大量生産されたものとは違います」と、職人としての強いメッセージが心に響きます。
メルボルンの製菓学校で初めて作ったチョコレート。
「ブッシュフード」のフレーバーとは?
オーストラリア先住民アボリジニとの交流を続け、オーストラリア原産の動植物を使った伝統的な食べ物「ブッシュフード」のことを教えてもらっているそうです。ブッシュフードのフレーバーに現代のテイスト(風味)を加えて作り上げるのが「ナカムラチョコレート」の特徴のひとつ。ブッシュフードは栄養価が高く、老化や病気を防ぐ抗酸化作用もあり、まさにスーパーフードだそうです。
「ブッシュフード」のフレーバーの中でも、オーストラリア産のデビットソンプラムと栗を掛け合わせたチョコレートは、食べやすくて人気があるそう。日本でもオンラインショップから購入できます。
日本とオーストラリアの架け橋になりたい
オーストラリア政府の機関である「豪日交流基金」の理事をしている中村さん(任期:2021年10月4日~2024年10月3日)。チョコレートを通じて、オーストラリアと日本の架け橋になりたいと夢を膨らませています。また、講演や討論会などを通じて、日本でのビジネスや女性の起業、食べ物と健康の関係についてなど、メッセージを発信し続けています。
日本の店舗は、おしゃれな雑貨店やパティスリーが並ぶ神戸・岡本に2017年にオープン。チョコレートはオンラインショップで購入することもできます。
Nakamura Chocolate
兵庫県神戸市東灘区岡本2-5-16
営業時間 11時00分~18時30分
定休日 月曜日
https://nakamura-choco.jp/
子育てで大切にしていることは?
9歳の男の子の母親でもある中村さん。普段は英語で会話をしているそうです。日本語も興味が持てるようになったら学んでほしいと思っていたところ、学校の第2外国語で日本語を選んでくれていたのだとか。また、「どこに行っても恥ずかしくない子に育てたい」という中村さんが大切にしているのは「人間力」。自らの経験から、英語や外国語を身につけることも、(生き方の)幅や視野が広がるとアドバイスしてくれました。
家族3人での写真。中村さんは海で泳ぐと、とてもリラックスできるのだとか。夏はもちろん冬でも、海で泳ぎを楽しめるのはオーストラリアならでは。

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