Exhibition Director /My English Skills 英語のしごと
公開日:2023年8月31日コラム
英語で将来どんな仕事ができるのだろう? このシリーズでは、英語を使う仕事を紹介します。

「展示が人生の何かのきっかけになれたら」と言う三池さん(ジオ・コスモスを背景に)。
日本科学未来館・展示ディレクター
Exhibition Director
三池 望(Nozomi Miike)さん
日本科学未来館の「展示ディレクター」とは?
企画コンセプトをもとに、研究者やデザイナー、クリエイターなどの専門家チームを1つにまとめて展覧会をつくる人です。クリエイティブな仕事であり、企画ごとに毎回新しい人と出会える刺激にあふれた環境で働いています。英語を使う海外のミュージアムとのやりとりも多く、世界が広がっていく仕事です。

三池さんが企画から制作まで全体をディレクションした常設展『ちいさなロボットたちがこだまする森』の前で(常設展示ゾーンで公開中)。
日本科学未来館で仕事を始めて9年になる三池さん。ミュージアムで働こうと思うようになったきっかけは、イギリスの大学に留学中のこと。
グラフィックデザインを学びながらクラスメイトとポスターの展覧会を自主企画し、その時の感動が「ミュージアムで働きたい」という思いにつながったそうです。
「もともと映画や洋楽が好きで、海外の文化に興味がありました。高校生の時、カナダにホームステイをしました。そして、高校3年生の進路選択の際、英語でデザインを学びたい気持ちから、イギリスの大学への留学を決めました」
知らない世界を知ることが好きだという三池さん。イギリスの大学を卒業後は、京都の美術館に就職したものの、デザインのキュレーション(展示企画)をしたいと、再度イギリスの大学院に留学します。歴史があり、かつ最先端でクリエイティブなミュージアムに刺激を受けながら、展覧会の作り方を学んだそうです。
最初にかかわった企画展は『GAME ON ~ゲームってなんでおもしろい?~』。イギリスからの巡回展とあって、留学中に学んだことが役に立ったそうです。その後も展覧会の企画を担当するなかで、海外のミュージアムと契約書を交わすのにメールで何往復もすることもあり、オンラインでの企画会議など英語コミュニケーション力は必須のようです。
海外の来場者も少なくありません。魅力ある企画展に向けて、事前の調査や専門家へのインタビュー、情報の整理などの業務で多忙な三池さん。大規模な展示ともなれば2、3年かけて作りあげるそうです。

特別展『きみとロボット ニンゲンッテ、ナンダ?』などこれまで担当した展覧会の資料。
「ゼロから企画した展示が公開したとき、会場でお客さまが楽しんでいる姿をみると達成感とやりがいを感じます」
初めて観る人にどう魅力を伝えられるかが、悩みどころであり工夫のしどころだそうですが、SNSなどで寄せられる感想のなかには、想像以上の反応があることも少なくないようです。
「海外と日本をつなぐ国際的文化交流を続けていきたい」と三池さん。英語は、知らない世界を知るためのツールであり、それを使って何をしたいかを考えることが大切とメッセージを添えてくれました。
これまでの経験が仕事に生きていると思うことは?
どのように展覧会のテーマを魅力的に伝えていくか、そんなところにこれまでの経験が生きていると思います。来館者に興味を持ってもらえるよう、皆と議論しながら作っています。
日本科学未来館
東京都江東区青海2-3-6
開館時間 10:00~17:00
休館日 火曜日、年末年始(12月28日~1月1日)
画像提供:日本科学未来館
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