Coordinator /My English Skills 英語のしごと
公開日:2023年8月4日コラム
英語で将来どんな仕事ができるのだろう? このシリーズでは、英語を使う仕事を紹介します。

新古典主義の女性画家カウフマン『パリスを戦場へと誘うヘクトール』(1770年代、国立西洋美術館所蔵)の前で。
国立西洋美術館 研究員
Coordinator
浅野 菜緒子(Naoko Asano)さん
国立西洋美術館の「研究員」とは?
専門分野の調査・研究、論発表はもとより、収蔵作品の管理・調整(レジストレーション)、展覧会の企画・実施、さらには広報に関わる活動など、多岐にわたっていろいろな業務を担当しています。海外の文献を読んだり、専門家からの問い合わせに応じたり、美術に関する専門的な知識と語学力で海外とつながる仕事です。
いろいろな業務に携わる中で、おもに広報を担当しているという浅野さん。海外へ館の魅力を発信する活動も力をいれています。 デスクワーク中の浅野さん。日常的に文献を読んだり、調査したりする仕事でも英語を使う。 浅野さんが広報活動(SNS)を担当している小企画展『橋本コレクション展―指輪よりどりみどり』(6月11日まで開催中)。
学生のときは英文学を研究していたそうです。
「シェイクスピア作品を勉強していましたが、文学を題材にした絵画に興味を持つようになりました。ある美術展で、ミレイの『オフィーリア』を観たときすごく感動して、美術も勉強したいなと思いました」
大学院の博士課程では、19世紀のイギリスにおけるシェイクスピア絵画について論文をまとめたそうです。
館には海外の研究者からも問い合わせが寄せられます。
「作品に関わる説明が必要な場合は、私が担当することもあります。作品がどのような過程を経て国立西洋美術館に所蔵されているのかとか、データベースにない情報を知りたいとか、そんなご質問もあります」
館内の仕事だけでなく、海外に出張することも。
「ミュージアムの広報活動や、どんなチーム体制をとっているのかなどを調査するために、今年1月にイギリスに出張しました。今後も英語を活かして、海外のミュージアムの市場調査もしたいと思っています」
研究員になるためには、「文献を読んだり、調査するために外国語ができることは必須です。たとえネイティブのように話せなくても、読み書きができることが大事です」と浅野さん。専門分野の語彙力も大切と語ってくれました。
自身は、日常的にアート関連の資料や論文を読み、大学の非常勤講師として英語を教えるなど仕事を通じて英語力をキープしています。
「絵にどんな場面が描かれているのか、理解する力や豊かな表現力も必要だと思います。個人的には欧米のドラマや映画が好きで、英語の小説を読んだり、演劇作品を観たり、日々のニュースを見て世の中の動きを理解することも仕事に役立っていると思います」
企画にかかわった展示で、来場者が長い時間をかけて鑑賞している姿をみると、やりがいを感じるという浅野さん。「語学を学ぶことは、新しい文化を学ぶこと。語学が窓になって新しい世界を切り開いてくれました。冒険するつもりで、楽しく語学に取り組んでいってほしいと思います」と、自身の経験をふまえて語ってくれました。
今後どんなことに取り組みたいですか?
外国の人にももっと館の魅力を知っていただけたらと思います。夢ではありますが、いろいろな立場で美術館に関わっている方々が、気軽に館を紹介する英語版の動画コンテンツをつくれたら楽しいし、面白いだろうなと思っています。
国立西洋美術館
東京都台東区上野公園7-7
開館時間 9:30~17:30(金・土曜日9:30~20:00)
休館日 月曜日(祝休日の場合は開館し、翌 平日休館)、年末年始
https://www.nmwa.go.jp/