渡部豪太さんインタビュー
公開日:2024年1月15日コラム
「分かった!」「通じた!」その感動が学びの爆発力になる
"I get it !" When you build confidence,you make remarkable progress.
ドラマに舞台にマルチに活躍する 渡部豪太さん。カナダ留学で身につけた英語力を生かしてBBC幼児向けチャンネル日本版やフランス語講座など語学番組への出演経験もあります。一方でスケートボーダーとしても知られ、プライベートでは2歳児の良きパパ。 そんな渡部さんに英語との出会いや留学経験などについて聞きました。
渡部 豪太(わたべ・ごうた)
[ Profile ]
1986年生まれ。茨城県出身。中学時代から始めたスケートボードは自身のライフスタイルの軸となり幅広くストリートカルチャーに精通。J-WAVE『FREE SLIDE』ではナビゲーターを務める。高校卒業後カナダに留学経験あり。NHK Eテレ『ふるカフェ系ハルさんの休日』で8シーズン主演を務めるほか、舞台、映画、テレビ、広告など幅広く活躍中。ジャズダンス、バレエ、日本舞踊など身体表現も得意とする。
転機になった14 歳
英語との出会いは小学校1年生の時。水泳や書写(ペン字)と同じように母が習い事のひとつとして選んだものだったと思います。小学1年生の私にとって、英語教室は勉強というより、遊びに行っている感じでした。芸能事務所に入ったのは小学5年生の時ですがこれも同じで、親も自分も習い事のひとつのような意識でいました。
中学に上がって英語の授業が始まると「あ、これ知っている」 ということが多かったですね。小さい時から英語に触れていたせいか、日本語、英語の区別なく「ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット」が横並びになっていたように感じます。
中学2年生の時、同級生に誘われてスケートボードを始めました。スケートボードには年齢もレベルも問わず、同じ空間にいる全員が楽しめるというカルチャーがあって、後のカナダ留学もスケートボードのおかげで何十倍も充実したものになりました。
ちょうど同じ頃、ある映画に出演しました。その現場の雰囲気がとても魅力的で「ここに僕の居場所がある!」と感じました。それで、帰りの特急電車の公衆電話から母に、「僕はこれからもこの仕事をやっていきたい」と伝えました。それ以来、スケートボードも俳優の仕事もずっと続いて今に至っています。
辞書に赤線を引いて覚えた英語の歌詞
高校時代はバンドをやっていて、私はボーカル。歌うことは小さい頃から大好きでした。当時は、英語の歌詞が未知であるがゆえにとても魅力的でカッコよく映り、夢中になって辞書を引いて意味を調べました。
先生から「辞書を引いたら何度でも赤で下線を引きなさい」と教わった通り、覚えた言葉が増えていくのが目に見えて、おもしろかったですね。今はスマートフォンで一瞬にして意味が表示されてしまいますが、辞書のページをめくって単語を見つけたときの「あった!分かった!」という感動を今でもよく覚えています。
英語を浴び続けたカナダ留学
高校生活も進路を考え始める頃になると「卒業後は芸能生活」と、漠然と思っていた私。ちょうどその時、地元の先輩が私に「ワーキングホリデーって知ってる? 海外で働きながら過ごせる制度があるんだよ」と教えてくれました。「これだ!」と感じた私はいろいろ調べ、両親に頼み込んで1年間留学させてもらうことになりました。親元を離れカナダのバンクーバーでホームステイして語学学校へ。そこは日本人だけでなく韓国人、メキシコ人、中国人など多国籍でしたが、放課後はどうしても母語での会話が多くなってしまいます。私はとにかく英語を自分のモノにしたかったので、授業が終わるとスケートパークに直行。地元のスケーターと一緒にスケートしながら、彼らと会話することで英語力がついたと思います。英語を使うのがとにかくおもしろくて、ストリートネームの標識から商品パッケージの文面まで、とにかく目に入る英語を全部口に出して読んで、ついに英語で夢を見るようになれた時はうれしかったですね。
言語はコミュニケーションで血肉になる
その後はパークで仲良くなった人の家に滞在させてもらったり、ソウルメイトと言える友人もできました。とにかく1年間、英語漬けの毎日を全身で浴びるように楽しみました。ネイティブの会話が飛び交う中で、聞き取れない言葉が出るたびに「今、なんて言ったの?」と聞いて、その場でメモします。そして翌日、その言葉を必ず自分で喋るようにしていました。この時に「言葉というのは相手に通じて初めて自分のものになる」と学びました。
今、自分の2歳の子どもの言葉の発達を見ていると、まさにその時の私と同じなんです。私が喋った言葉を、最初はたどたどしい発音で間違いながらもマネして喋る。その言葉に反応してあげると、「自分の言葉がパパに通じた!」って分かるんでしょうね。すると次からはもう自分の言葉として、自信をもって喋ります。言語って、コミュニケーションを通して血になり肉になっていくものなんですね。子どもが幼いときは親子がいちばんコミュニケーションをとるので、親子で一緒に習い事をするのも理想ですね。ぜひ一緒に楽しみたいです。
子どもの自発的な発見を応援したい
私の大きなターニングポイントになったカナダ留学ですが、振り返ってみると、そこに至るいくつかのステップがあったように思います。芸能活動、バンド、スケートボード、ワーキングホリデーを教えてくれた方のひと言......。私にきっかけと喜びを与えてくれたいくつかの出来事が重なった先に、「留学」という選択肢があり、幸運にも私は自分が本当にやりたかったそのカードを引くことができました。
あの時、日本を飛び出して英語を学び、友だちをつくり、思いっきり両手を開いて新しいカルチャーを吸収しました。もちろん、両親をはじめ18歳の私に留学を許してくれた環境があったからこそではありますが。
今、自分が親になってみて大事だなと思うのは、「子どもが今、何を楽しんでいるのか?」をよく見ることです。何に興味をもつかは一人ひとり違うので、親としてつぶさに観察して「これはどう?」と選択肢を出すようにしています。そして、反応がなかったらすぐ引っ込めます(笑)。親の押し付けではなく、その子が自発的に発見することが大事。それが学びの爆発力を開花させ、夢の実現につながるように思います。
Message
私も子どもの未来や可能性にいろいろな思いをめぐらせます。全国のヤマハ英語教室は、家のすぐそばにある「可能性の扉」のようですね。言語はコミュニケーションで育ちます。肩肘張らず、親子一緒に楽しむ感覚で気軽に扉をノックしてみてはいかがでしょう? かつて勉強した時の英語とは違う、新しい発見がきっとあると思います。