知っておきたい!これからの英語教育
英会話どのくらいできればいい?
公開日:2019年2月6日コラム
英語があなたの可能性を広げる
幼児から中高年まで幅広い世代で英語学習が関心を集めている。グローバル化が進み、英語を必要とする場面が増えているからだ。日本企業が社内公用語の英語化に踏み切ったり、2020年度に小学5、6年生で英語が正式教科になったり、様々な動きが出ている。大学入試改革でも「読む」「聞く」「話す」「書く」といった英語4技能を重視。また、インバウンド(訪日外国人客)の増加を受け、一般の人の間でもコミュニケーションのツールとして実用的な英会話能力の大切さが再認識されている。「使える英語」を身につけるため、これまでの知識を詰め込む「受験英語」とは異なる、新しい英語学習が求められている。
早期化する英語教育、小学校教育にも変化
幼児期は英語に慣れ親しむこと
幼児期の早期英語教育に対する関心が高まっている。幼児に英語を教える教室は盛況で、英語クラスを設ける私立幼稚園もある。幼児期は外国語の発音を受け入れやすく、早ければ早いほど自然に身につけやすいという専門家の指摘もある。そのためにも幼児期から「英語を学ぶ」のではなく、「英語に慣れ、親しんでおく」ことが必要になりつつある。
早期英語教育の流れは、小学校教育にも現れている。2020年度から実施される小学校の新学習指導要領では、英語が5、6年生で教科化され、簡単な英語を使い体験的に英語に親しむ「外国語活動」が3、4年生から開始されることが決まっている。
5、6年生の場合、教科書を使って授業し、成績評価も行われる。新たに読み書きが加わり、小学校で覚える単語の目標数は「600~700語程度」。授業数は現行の倍となる年間70コマになる。身近で簡単な事柄について、英語で聞いたり話したりして、自分の考えを伝え合うことができるようにする。
こうした小学校での英語教育の拡充を先取りする形で、子を持つ親たちも英語教育について関心を高めている。ヤマハミュージックジャパンの調査によると、未就学児の子供を持つ親の53%が、今後子供にさせたい習い事として英語教室をあげた。グローバル化の流れ、小学校での英語教科化、この二つの変化に向けて、早期英語教育は今後も過熱していくだろう。
受験英語? 実用的な英語?
試される4技能、大学入試はどう変わる?
「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能を測る英語の民間試験の導入は、すでに私立大学を中心に広がっている。来春の入試では約3割が、民間試験の実施を予定している。
さらに、大学入試センター試験に代わって、2021年1月から始まる大学入学共通テストでも、その活用が決まっている。英語の民間試験には、実用英語技能検定(英検)のほか、海外への留学に使われるTOEFL、企業などが採用や社内評価に活用するTOEICなどが認められている。初年度の受験生となるのは2018年度の高校1年生だ。
文部科学省では、英語民間試験の導入を大学入試改革の目玉に据えている。英語の実践力不足がかねて指摘されていることもあり、「読む」「聞く」に加え、「話す」「書く」の英語4技能を育成するのが目的だ。
すでにタブレットなどのモニター画面上で模擬面接が受けられる英会話アプリを授業に導入するなど、共通テスト対策に本腰を入れる高校も増えている。
2022年度から順次実施される高校の新学習指導要領によると、3年間で学ぶ英単語数は、現在の「1800語程度」から「1800~2500語程度」となる。中学までの分を合わせると、「3000語程度」から「4000~5000語程度」に増える。全体として「文法的正しさ」を過度に強調せず、会話や討論の場で伝える力の育成に重点を置いているようだ。
AI翻訳にできること 人間にしかできないこと
進化するAI翻訳、それでも英語は勉強するべき?
実践的な英会話能力が求められる一方、コンピューターに入力した文章を外国語に自動翻訳する機械翻訳の技術が、人工知能(AI)の活用で飛躍的に向上している。「英会話」と聞いただけで敬遠していた人たちも、デジタルの恩恵によって、言葉の壁を気軽に超えられる時代が訪れつつある。
AIを活用した翻訳は、単語から意味を連想して訳を考えることができる。さらに文章の特徴を自ら分析して学び、訳に生かす「深層学習」もできる。グーグルが2016年にAI翻訳をインターネット上の翻訳サービスに導入して一般に広まった。
それではAI翻訳が発達すると、英語を学ぶ必要はなくなるのだろうか? 残念ながら、その必要性がなくなることはなさそうだ。AIによって翻訳の精度は飛躍的に向上したが、文章の意味や意図など、数式に置き換えられないことは翻訳できないからだ。できるのは入ってきた文章を直訳することだ。
従って、要約や意訳はAI翻訳には難しいし、複雑な会話を短い文章で表現する映画の字幕翻訳も人間にしかできないだろう。ビジネスでの重要な交渉など、微妙なコミュニケーションが求められる現場でも、人間の語学力が必要とされる。それに何より、相手と直接対面して、コミュニケーションを重ねる手段が「AI翻訳」だけでは味気なくはないだろうか。相手の微妙な表情の変化や会話そのものを楽しむためには、やはり英会話の能力が欠かせない。
シニアにも英語ブーム? 英語で楽しみ広がる
仕事や子育てが一段落し、英会話を学んでみたいというシニアも目立つようになった。2020年に向けて、インバウンドが急増していることに加え、個人で海外旅行をしたり、長期滞在したりする機会が増え、コミュニケーションツールとして英語があらためて注目を集めているからだ。
実際、プライベートでも英語を話す機会は増えている。例えば、旅。海外のホテルなどを自分で予約する個人旅行を楽しむシニアが増え、ホテルでのチェックインやレストランでの食事の注文など、様々な場面で英語を使うようになった。そんな場面で役立つ基本的な英会話を学びたいというニーズが高まっている。
近年は、短期の旅行では得られない体験を求めて、仕事や子育てを終えたシニアが海外に留学するケースもある。その際も人気の留学先は、英国やカナダなどの英語圏が多いという。
また、海外での長期滞在も増えている。日本が寒い冬の間だけ温暖な国で過ごす。物価が低い国でゆっくりと年金生活を送る。そんな余暇の形も増えており、そのまま移住してしまうケースも多いのだとか。
しかし、英語に自信がない。そんな時に頼りになるのが英語教室だ。同世代が教室に集まって英語を学ぶことで、独学よりも張り合いが出て、人脈も広げられる。人生100年時代、英語は単なるコミュニケーションの道具ではなく、シニアの好奇心を刺激し、生活の幅を広げてくれる有効な手段となりつつある。
世界で使われている英語
英国や米国以外にも英語を公用語とする国や地域は数多く存在する。英語を母語とする人は4億人未満と言われているが、英語を話す人はアフリカやアジアなど世界に約15億人いるとされている。シンガポールで話されている英語は「シングリッシュ」と呼ばれるように、英語にも方言があり、地域によって発音や文法が異なる。
(企画・制作 読売新聞社広告局)
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