■概要
― 方法 ―
高感度カメラを用いた、飛沫可視化による検証
微粒子計測器(パーティクルカウンター)を用いた、粒子計数による比較(距離・角度)
「不織布マスク」「マウスシールド」「フェイスシールド」の3種類を取り上げました。
▼飛沫防護具なし
▼不織布マスク
▼マウスシールド
▼フェイスシールド
「会話(朗読)」「歌詞唱」「ドレミ唱」の違い
▼飛沫防護具なし
▼不織布マスク
▼マウスシールド
▼フェイスシールド
■教室環境を想定した飛沫飛散状況に関する実験 結果と考察
ヤマハ音楽教室・ヤマハミュージックレッスン・青春ポップスの教室環境を想定し、歌唱時の飛沫飛散状況を撮影・測定し、防護具別の飛沫飛散防止効果を検証しました。
今回の実験において、≧0.08㎛の粒子を映像化できる高感度カメラによる観測では、距離1.0mまで届く飛沫の飛散は見られませんでした。
また、粒子測定器による≧0.5㎛ および ≧5.0㎛の粒子の測定では、距離1.0mを超える測定点での≧0.5㎛の飛沫の検出数はごく少数で、≧5.0㎛の飛沫はほぼ検出されませんでした。
これらの結果より、以下のことが示されました。
■有効な飛沫飛散防止策
①飛散する飛沫が届かなくなる適切な距離を確保すること(2.0m以上)
②2.0mの距離を確保できない場合は、不織布マスク、マウスシールド、フェイスシールド等の防護具を着用すること
■防護具による飛沫飛散防止効果の違い
不織布マスク :飛沫飛散はほぼ抑えられる
マウスシールド :前方向(0°~45°方向)の1.0m以内への飛沫飛散はやや見られるが、45°~90°側方、また1.0mを超える飛沫飛散はほぼ抑えられる
フェイスシールド:広範囲(0°~90°方向)の1.0m以内への飛沫飛散はやや見られるが、1.0mを超える飛沫飛散はほぼ抑えられる
このことにより、以下の順でより高い飛沫飛散防止の効果が期待できる。
■曲想による飛沫飛散量の違い
曲想が「おだやかな曲」は、「元気のよい曲」に比べて飛沫飛散量は少ない傾向にあることから、より安全性を確保して歌唱することができる。
■レッスンにおける安全性確保に関する考察
防護具の有無に関係なく、歌唱した際の飛沫は2.0mの距離へはほぼ届いていないという測定結果から、2.0m以上の距離を確保していれば安全上問題はないと考えられる。
ただし、レッスンにおいて常に2.0m以上の距離・間隔を保つことは難しいこと、また、できるだけより高い防止策を講じることが望ましいという観点から、以下のことが推奨される。
■ヤマハ音楽教室・ヤマハミュージックレッスン・青春ポップスにおける「歌唱」の展開について
以下の飛沫飛散防止策を講じることで、感染症の感染予防・拡大防止を図りながら「歌唱」を展開できると考えられます。(ガイドラインに沿い、透明パーティション活用・クラス人数の調整なども適宜併用を推奨)
【距離・間隔、向き、立ち位置】
講師と生徒、生徒同士の距離・間隔を2m程度確保する。
【防護具の着用】
講師は、生徒との距離・間隔をやむを得ず2.0mより縮めて指導する場面も想定されることから、飛沫飛散防止効果が最も高い「不織布マスク」を着用する。
生徒に口元を見せる必要がある場合は、「マウスシールド」や「フェイスシールド」を使用する。(不織布マスクに次いで効果の高い「マウスシールド」を推奨)
生徒も同様に「不織布マスク」を着用。(マスクが歌いづらい場合は「マウスシールド」を推奨)
【歌唱素材】
歌唱素材を適宜選べる場合は、可能な範囲で、飛沫飛散がより少ない“おだやかな曲”(声量が小さめ、テンポが遅め、など)から選曲する。
以上の結果を踏まえ、今後のレッスンおよびレッスンにおける歌唱指導を実施して参りたく、ご理解の程よろしくお願いいたします。尚、歌唱による飛沫拡散実験では、2m程度離れていれば飛沫感染リスクの心配は無いという結果が出ましたが、レッスンにおいては感染防止に万全を期すため、引き続き講師は不織布マスク等を着用して歌唱指導を行いますのでご安心ください。
つきましては、生徒・保護者、および会員の皆さまにおかれましても、引き続きマスク着用をはじめとした感染防止へのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
ヤマハ音楽教室では、各省庁や自治体が公表しているガイドラインを基に独自のガイドラインを定め、これに沿って①マスク着用、②手洗い・手指の消毒、③ソーシャルディスタンス(最低1m)の確保、④レッスン室の換気等を徹底することで、お客様に安心してレッスンを受講いただけるよう感染拡大防止に努めています。