昔から憧れている人がいる。
テレビの向こうでギターを弾く彼女に、
なかば恋のように夢中になった。
メイク、ファッション、ライフスタイル…。
彼女にまつわる色々なことがステキに思える。
昨日は友達に「最近の瑞希、雰囲気が『あの人』っぽいよね!」
と言われて、ちょっと嬉しい。
…でも、やっぱり何かが足りないなあと感じて、気付いた。
私はギターが弾けない。
これでギターが弾けたなら、
もっと彼女のようにステキになれるんじゃない?
会社では中間管理職。
部下の前では気をはって、取引先にはせっつかれ、
毎日気の休まる暇がない。
そんな日々のストレス発散にと、独学で始めたトランペットを
部屋や河川敷で練習していたら、
「おじちゃん、ヘタクソ~!」という子どもの笑い声が。
…自分ではそこそこ上手くなってきたんじゃないか
と思っていただけに、正直、ショックだ。
発散どころではない。
ああ、人に聴かせられるくらいになって、
思いっきり吹きたい!!
好きなアーティストの屋外ライブ。
ボーカルが目当てだったけれど、
初めて聴く生音のドラムの低音に、ゾクゾクきてしまった。
ドラムって、バンドの後ろのほうにいて、
なんとなく地味なイメージだったけれど、
そんな考えは欠片も残さず吹き飛んだ。
自在なスティックさばきで正確に刻まれるリズム。
気付けば、当初のお目当てだったボーカルではなく、
ドラムの動きの一つひとつを
ひたすら目で追っている自分がいた。
私もあんな風になりたい!
高校時代に仲間と一緒に結成したコピーバンド。
本当はギターをやりたかったけれど、
自分より上手い奴がいて、バンドメンバーの意見もあり、
ギターはそいつに譲ることになった。
あれから数十年。
そんな苦い思い出も忘れかかった、ある日の会社帰り。
駅前で、一心不乱にギターをかき鳴らす学生を見かけた。
荒削りですこし拙い、けれど一生懸命な演奏に、
当時の自分を思い出す。
…ああ、やっぱり、俺もギターをやりたかったなあ。
今からでも遅くないよな。
小さい頃、仲良しの女の子がいた。
何をするにもいつも一緒だった。火曜日以外は…。
ツヤツヤの楽器をこちらに差し出し、
「弾いてみる?」と言う彼女に、
「ううん、いいや」と返した私。だけど、
彼女の部屋からそのバイオリンの音色が聴こえてきたとき、
少しだけうらやましく感じたのを憶えている。
大人になって、転職先の会社で仲良くなった子が
バイオリン教室に通い始めたと知った。
あの子が弾いてた憧れの楽器。
「一緒に習ってみない?」と誘ってくれる彼女。
「うん、やってみたい」
幼い頃の憧れが、私の背中を押した。
近所のカフェでジャズの旋律に耳を傾け、
それについての話をする。
私の隠居生活の楽しみだ。
ある時、いつも私の話を聞くだけだった若い女性店員さんが、
「実は私、ジャズピアノを習いに行ってるんですよ」
「小林さんは、サックスが似合いそうですよね」と言う。
家族には、「ボケ防止だよ」と嘯きながら、
サックス教室へと向かう足が軽い。
カミさんよ、すまん。
いくつになっても、男はカッコつけたい生き物なのだ。

「ヤマハ大人の音楽レッスン」
2017年春のキャンペーンは、
20代から60代までの人物設定で、
10名のモデル撮影が行われました。
ですが、実はちょっとだけ秘密があるんです。
それは、たった一人のタレントさんが
すべての役を演じているということ。
さて、あなたはすぐに分かりましたか?



都内のスタジオで初日はレディースDay、
2日目はメンズDayと、
一人で演じる山ノ内凱旋さんの
気持ちの切り替えも考慮して行われた撮影風景。
“5人兄妹で男は自分一人だけ”
という中で育ってきたせいか、
実は女性役の撮影よりも、
男性役の撮影のほうが難航したという噂も...。

Copyright © YAMAHA MUSIC FOUNDATION All rights reserved.